介護経営者に刺さる見守り機器
AIカメラが職員の“眼”に i-PRO PR
i-PRO(東京・港区)の見守り機器に介護経営者が関心を寄せている。カメラメーカーとして培った技術と生成AIの融合から生まれた同社のAIカメラが、介護職員の“眼”となり夜間巡回などを担い、現場での業務負荷を和らげている。人手不足の中、離職を防ぐことはいまや大きな経営課題の一つ。介護労働安定センターが実施した2024年度「介護労働実態調査」によると、『今の事業所で働き続けたい』と考える人の約半数が『人手不足』を悩みや不安、不満として挙げている。こうした職員の不安などを解消しようと介護経営者に注目されているのが同社の見守り機器システム「i-PRO Remo. スマート介護・福祉」だ。その魅力をビジネスデベロップメントマネージャーの清水弘子氏に聞いた。
(i-PRO株式会社 制作CBnews編集部)
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「離設・徘徊予防を行いたい」「夜勤業務の負担や不要な訪室を減らしたい」「共用部全体を効率よく見守りたい」…。こうした介護経営者の“お悩み”を解決するのがi-PRO Remo. スマート介護 ・福祉だ。カメラと記録媒体、ライセンス、ビューアーで介護施設の入居者を見守る。
利用イメージはざっくりこうだ。居室や共用部に設置したAIカメラで入居者の行動変化を捉えると、遠隔にいる職員のスマートフォンにアラートが通知される。「端座位」や「離床」など入居者の行動変化を、AIを使って早期検知。足腰が弱く介助の必要度が高い入居者の居室での転倒リスクを端座位検知によって抑えることができる。
■スピーカーカメラで端座位や離床を検知
この検知を可能にしたのが同社で2025年9月に販売を始めたスピーカーカメラだ。現在主流となっているセンサーでの検知では視覚的な情報を得ることができず、通知のたびに訪室する必要があるが、カメラであれば入居者の状態を視覚で確認し、訪室が必要かどうかを見極めることができる。居室の壁に設置した1台のカメラで部屋全体を撮影でき、IR-LEDを装着しているため消灯後も入居者を見守ることができる。ボタンを押せば、遠隔の職員と双方向での通話ができ、インターフォンのような使い方がカメラの存在を入居者から遠ざける。開発背景を清水氏はこう明かす。
「もともと私たちはセキュリティカメラ業界におり、これまでも介護施設の共用部や廊下への活用を提案してきました。ただ、介護施設の皆様のお役に立つという意味では、共用部だけでは『ニーズに応えられる範囲が限定的である』と思い、居室向けのカメラ開発にも本腰を入れました。居室でのお悩みを徹底的に介護施設などからヒアリングし、ニーズを探ることから始めました。真っ暗な中でも見守りができる機能や、カメラが前面にでないようなデザインの工夫などは、こうしたヒアリングから着想しました」。
AIを活用した端座位と離床検知も、介護施設でのヒアリングがきっかけだった。転倒事故の多くは居室内で発生している。他のメーカーでも居室向けのカメラはある。しかし、多くは転倒などの事故が起きた場合の検証用に使われている。「事故報告書を書く上で有効ですが、居室で入居者が転倒した事実は変わりません。カメラを使って転倒を減らす方法はないのかを考えました」(清水氏)。そしてたどり着いたのがAIを取り入れたスピーカーカメラだった。
どのように検知するのか、下の画像を使って説明する。
左が転倒リスクの高い入居者だとしよう。事務室にいる介護職員はPCに映し出される居室内の映像をチェック。ベッドから起き上がり始めた入居者をAIが確認すると、その動きを赤枠で表示、端座位まで追いかける。
右は、自立度が高かったり、転倒リスクが低かったりするが、徘徊する入居者だとしよう。この場合、ベッドからの起き上がりには反応しないが、端座位から離床までを赤枠で示す。
事務室に設置されたPCモニターの画面には最大64カットが表示できる。介護職員は、赤枠の表示を確認したら訪室する。スマホにもアラート通知が飛ぶ。入居者の行動変化に二重で気づき、転倒事故や徘徊を減らすことができる。
「アラートの有無で訪室を判断するため、これまでのように無駄に訪室し、寝ている入居者を起こすこともなくなります。夜勤業務で10人ぐらいを1人で見守らなきゃいけないという状況の中で、工数は大幅に減ります。居室にいる入居者がどのような状態にあるのか見えない中で見守るというのは介護職員の心理的負担にもなります。カメラを導入することで、こうした心理的負担を減らし、職員の不安を取り除くことができます」。と清水氏はメリットを強調する。
■エスケープ対策には全方位カメラ
離設・徘徊対策にも、このAIカメラが威力を発揮する。360度で映像が映し出される「全方位カメラ」を共用部や廊下、出入口などの天井に取り付ける。それだけで、入居者が部屋から共用部や廊下に出たり、共用部や廊下に一定時間滞留したりするとAIカメラが異常検知と捉え、アラートが教えてくれる。
徘徊をイメージした下の画像。目には見えない検知ラインを設定し、居住者がそのラインを越えるとアラートが鳴る。
次の画像は入居者が共用部で倒れていることをイメージしたものだ。60秒以上同じ場所に滞留するとアラートで異常を知らせてくれる。
また、高精度なカメラを利用しているため、入居者が施設の外に出てしまったとしても、方向に見当を付け、捜すこともできる。下の画像をみてほしい。左側は全方位カメラで映し出された映像だ。画像上に赤い丸で囲まれているのが清水氏。右側は、その清水氏にズームをかけた画像だ。天井に設置されたカメラから清水氏までの距離は10数メートルあるが、「清水氏であろう」との判断ができる。
例えば、認知症の入居者が徘徊し、介護施設の出入口を出て、外に行ってしまった場合、介護職員は、全方位カメラで撮影された映像を追いながら、入居者を捜しに行くという流れだ。
清水氏は「エスケープ対策として全方位カメラはとても人気です。例えば、夜勤22時から翌日朝5時までを検知時間として設定し、入居者を見守る使い方があります。夜間で職員を増やすことができなかったり、巡回回数を増やせなかったりしても、全方位カメラが入居者の行動を見守ります。『夜中に居室から出ないで』と言えるわけもなく、そうした行動を想定して全方位カメラを設置し、職員の心理的安全も守ってほしい」と語る。
■ランニングコスト不要で導入しやすく
スピーカーカメラや全方位カメラで撮影した動画は、エッジストレージと呼ばれる記録媒体にすべて保存される。万一、施設内でのトラブルが起きた際も、再生すれば簡単に確認できる。保存された映像は一定期間を過ぎると新しい映像が上書きされる仕組みだ。実は、このエッジストレージへ記録するという方式が、ランニングコストに大きく寄与する。
仮に、クラウドに映像を保存すると、経営者が最も気にするうちの一つである「コスト」に直結する。「クラウドを活用する方法もありますが、仮に1カメラ当たり3000円×居室50床とすると、それだけで1ヶ月15万円かかってしまいます。エッジストレージを導入すると、こうした費用はかからず、トータルでの導入費用を抑えることができます。最大32TBまでの容量があり、カメラ128台を1台のエッジストレージで対応できます。カメラ台数に応じた容量を提案するため、無駄に大容量のエッジストレージを導入することありません」と清水氏は強調する。
i-PROのスピーカーカメラは福祉用具情報システム(TAIS)コードを取得しており、補助金を活用した導入ができるが、清水氏は「i-PRO Remo. スマート介護・福祉 」の良さを知った上での導入を介護施設の経営者には期待する。「導入を検討する施設さまへ私たちがカメラを持って実証実験(PoC)を行い、2週間ぐらい様子を見てもらい、アンケートを取り使用感や課題などを把握します。正直、とても工数はかかりますが、まずは『i-PRO Remo. スマート介護・福祉 』の良さを体験してもらいたいという思いを大切にしています」。
清水氏をはじめとした担当者の思いや効果が、介護経営者に確実に伝わっている。昨年9月に販売を始めたスピーカーカメラは予想を超える「垂直立ち上がり」に社内は驚いたという。AIカメラを使った見守りによる効果として、夜間に鳴る50回のアラートのうち、「肌感覚ですが4割ぐらいは訪室が不要だった」という。その効果だけでも生産性向上に大きく貢献していることが分かる。
■介護施設の課題解決とともに『i-PRO Remo. スマート介護 』も成長
「この効果は、ある介護施設での一例にしかすぎません。施設ごとにさまざまなお悩みがあると思います。今が完成品だとは思っていません。お悩みを一つ一つ解決し、施設さまの成長に貢献しながら、一緒に進化していければとても嬉しいです」。
清水氏がインタビューの中で何度も言葉にした介護職員の「心理的不安」。
「今の事業所で働き続けたい」と考えている介護職員に、経営者はどう応えるのか――。

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